スポンサーリンク

上記の広告は、30日以上更新がないブログに表示されています。
新たに記事を投稿することで、広告を消すことができます。  

Posted by のらんば長崎運営事務局 at

2014年03月27日

日常からの離脱「春、バーニーズで」

芥川賞作家・吉田修一著「春、バーニーズで」読了。
短編集「最後の息子」の続編らしいが、昔読んでるのによく覚えていない。
その中の一編「WATER」は記憶に残っているけどね。
再読してみるかな?



会社員・筒井は子持ちで離婚歴のある瞳と結婚。
他人からも理想的とされる、何不自由のない夫婦生活を送っている・・・

新宿のバーニーズに家族で買物に出掛けた日、
若い頃一緒に暮らしていた相手に偶然出会う。
懐かしいその人はオカマで、まだ学生らしい若者の服を選んでいた。
かって自分がそうされていたように・・・
通り過ぎ、何処かに置き忘れてしまった何かが動き出す「春、バーニーズで」。

夫婦でお互いに嘘を付き合って、より衝撃的な嘘を言ったほうが勝ち。
「狼少年ごっこ」と名づけられた夫婦の気まぐれな遊びから、
人との信頼関係・日常の危うさを切り取った「夫婦の悪戯」。

朝会社に高速を車で向かう途中衝動的にハンドルを切り、
日常からの逃避行を図ってしまう「パーキングエリア」。
ラスト夫の無断欠勤を、さり気無い優しさで包む嫁さんの心遣いがニクイ。


 ▲Bookoffで見つけたシックな装丁「春、バーニーズで」

表紙には「小説を、贈る」、
裏表紙に「ふとしたはずみで、もうひとつの時間へ。」のキャッチコピー。

不満もないのに何故か別の人生を想像する。
もっと他の生き方や人生があったのではないか?
何かを諦めて、今の生活を選んでしまったような不思議な気持ち。
そういう密かな思いが、ふっと日常生活から溢れ出す瞬間。

短くて少ない情報量で、
読者をもうひとつの時間=異次元の世界へと誘う〈短編小説〉だけに、
深く静かに空想し、妄想を拡大させてくれる。
多くは語らずとも、吉田修一の世界が、そこに確かに存在する。

  


Posted by 夜更かし中年隊 at 11:54震える一冊
にほんブログ村 地域生活(街) 九州ブログ 長崎(市)情報へ
にほんブログ村 にほんブログ村 映画ブログ 映画日記へ
にほんブログ村にほんブログ村 オヤジ日記ブログ お茶目オヤジへ
にほんブログ村
My Yahoo!に追加
Googleに追加
Bloglinesに追加
Powered by SEO対策 RSSプラス
  • SEOブログパーツ
キネ旬オンライン・ショップ
< 2014年03>
S M T W T F S
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
プロフィール
夜更かし中年隊
夜更かし中年隊
アラカン(アラウンド還暦)世代。
親父の立場や経験から、
独り言・視線・つぶやきを交えながら
世の中を笑い飛ばして行きます。
PR
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 98人