2014年03月27日

日常からの離脱「春、バーニーズで」

芥川賞作家・吉田修一著「春、バーニーズで」読了。
短編集「最後の息子」の続編らしいが、昔読んでるのによく覚えていない。
その中の一編「WATER」は記憶に残っているけどね。
再読してみるかな?



会社員・筒井は子持ちで離婚歴のある瞳と結婚。
他人からも理想的とされる、何不自由のない夫婦生活を送っている・・・

新宿のバーニーズに家族で買物に出掛けた日、
若い頃一緒に暮らしていた相手に偶然出会う。
懐かしいその人はオカマで、まだ学生らしい若者の服を選んでいた。
かって自分がそうされていたように・・・
通り過ぎ、何処かに置き忘れてしまった何かが動き出す「春、バーニーズで」。

夫婦でお互いに嘘を付き合って、より衝撃的な嘘を言ったほうが勝ち。
「狼少年ごっこ」と名づけられた夫婦の気まぐれな遊びから、
人との信頼関係・日常の危うさを切り取った「夫婦の悪戯」。

朝会社に高速を車で向かう途中衝動的にハンドルを切り、
日常からの逃避行を図ってしまう「パーキングエリア」。
ラスト夫の無断欠勤を、さり気無い優しさで包む嫁さんの心遣いがニクイ。


 ▲Bookoffで見つけたシックな装丁「春、バーニーズで」

表紙には「小説を、贈る」、
裏表紙に「ふとしたはずみで、もうひとつの時間へ。」のキャッチコピー。

不満もないのに何故か別の人生を想像する。
もっと他の生き方や人生があったのではないか?
何かを諦めて、今の生活を選んでしまったような不思議な気持ち。
そういう密かな思いが、ふっと日常生活から溢れ出す瞬間。

短くて少ない情報量で、
読者をもうひとつの時間=異次元の世界へと誘う〈短編小説〉だけに、
深く静かに空想し、妄想を拡大させてくれる。
多くは語らずとも、吉田修一の世界が、そこに確かに存在する。





Posted by 夜更かし中年隊 at 11:54 │震える一冊

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アラカン(アラウンド還暦)世代。
親父の立場や経験から、
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