枯れ専の魅力!映画「娚(おとこ)の一生」

夜更かし中年隊

2015年02月28日 15:24

52歳独身の大学教授 恋をしないと決めた女
「ずっとひとりだと思ってたのに・・・。」
きっとあなたの側にある。寄り添い生きる、優しい愛の物語。

そんな大人の?ラブストーリー映画「娚(おとこ)の一生」鑑賞。



タイトルにもなっている「娚(おとこ)」という字が気になってたら、
〈めおと〉という読みや石川県に娚杉(めおとすぎ)という地名もあったりして、
要するに男と女の話のお話ってことらしい。
「娚」の字面からすると〈おんなおとこ〉というかオカマっぽいが、
映画のファースト&ラストシーンの男女の抱き合う立ち姿が、
まさに「娚」の字に重なるという憎い演出だった。

「恋に臆病になる気持ちに共感」「切なさが手に取るようにわかる」と
アラサー女性を中心に支持を得ている西炯子のコミックが原作。
幸せを諦めた女性:つぐみに榮倉奈々、大学教授に豊川悦司
そう言えば昔、吉本ばなな原作・牧瀬里穂主演の「つぐみ」って映画もあった。
共演に安藤サクラ・木野花・根岸季衣・濱田マリ・向井理 他。

旬を迎えたサクラちゃんは奇妙で独特な動きで存在感で友人役を演じ、
母親役根岸さんのスキップ歩行にニンマリさせられ、
向井君は僅かな出演で損な役回りながらそつなく熟(こな)し好感。
二世議員を目指すボンボンや郵便配達員や村人達が、
純で素朴な人柄を醸しだし場を和ませる。
監督は「余命1ヶ月の花嫁」「だいじょうぶ3組」と何か相性がいい廣木隆一

◎映画「娚の一生」予告編


人生につまずき田舎へ帰省した主人公は原作では30歳代らしいが、
映画版は榮倉奈々ちゃんが演じてるので少し若い設定。
30代半ばの熟女が演じたら、また違った味わいの映画になっていたのかも?
しかしこれはこれで、綴られていく小さなエピソードの数々が丁寧で感激的。
置き去りにされた少年との別れのシーンには不覚にもホロッ!(T_T)

話題の〈足キス〉シーン等で、次第に惹かれあい結ばれる迄の男女の機微。
田舎ならでは季節の風景やユッタリとした空気感。
自転車の速度に合わせ、並行してカメラが横移動していくシーンも心地良い。
鮮やかな染色の布が風に揺らぐ光景や、竹林を二人で散策するシーンの風情。
ちょっと唐突にも感じられる〈蹴り〉や喧嘩のシーンは、
間延びしがちな田舎時間の流れに水差す刺激剤になっている。
〈金魚すくい〉の誘いに躊躇する2代目議員を小突いたり、
二人の距離感を一気に縮める〈ネックレス〉事件?の件、
引き取られる男の子と約束をする〈ハガキ〉は、終盤爽やかな感動を呼ぶ。
スラリと伸びた奈々ちゃん・豊川さんの2ショットは、
バランス感覚も抜群で絵になる魅力的なビジュアルだった。

50歳代の男性との恋愛は、世に言う〈枯れ専〉。
他人事でないこの言葉を最初に耳にした時ドッキリさせられ苦笑もしたが、
優しさや包容力・豊かな人生経験や知識(みんながそうとはとても言えない)が、
そこいらの若者ではなかなか味わえまい。
女性がこの映画で〈枯れ専〉に興味覚えたら、こんなオジさんでもモテルかな!?

ここでも、また一句。
アラカンに なっても恋は 純情派
身体は老年・こころは少年(^_^;

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