立ち上がる勇気「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」

夜更かし中年隊

2012年04月14日 06:49

彼女たちの物語が、私を変える。私の物語が、世界を変える。

遅ればせながらやっと観れた「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」。
今年のアカデミー賞はじめ、ゴールデン・グローブ賞・放送映画批評家協会賞などで
多くの栄冠を勝ち取った名作!見応え充分の傑作です。
監督・脚本は原作者キャスリン・ストケットの幼なじみ、新鋭テイト・テイラー。
主演はエマ・ストーン、共演にヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサーなど
雇い主・使用人という立場の違った共演者の演技アンサンブルも楽しめます。



人種差別意識が根強く残る1960年代の、アメリカの田舎町ミシシッピー。
ジャーナリスト志望の白人女性と白人家庭でメイドとして働く黒人女性達との友情を通し、
社会に対して立ち上がる勇気を描いたベストセラー小説の映画化。
ミシシッピーと言えばアラン・パーカー監督の強烈な社会派サスペンス、
「ミシシッピー・バーニング」も思い出します。

◎「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」予告編


今だから言える劣悪な環境も当時は当たり前の時代?
根拠のない良からぬ悪評・悪条件の中で働く黒人メイドの実態、
人種差別という今も根強く残っている問題と垣根を越えた女性たちの友情。

差別と暴力と報復の連鎖が続く、アメリカの陰の歴史。
そして現代、黒人の大統領が誕生するまでの長い道程を思うと
その蔭には痛みを受け恐怖と戦いながら、自分の脚で歩き立ち上がった先人達の
こんな物語もあった事を忘れてはいけないし認識すべきだろう。

エマ・ストーン演じる白人女性と、ヴィオラ・デイヴィスの黒人女性の信頼関係。
アカデミー助演女優賞のオクタヴィア・スペンサーが演じる黒人メイドと、
雇い主ジェシカ・チャスティンとの哀しくも可笑しく切実な友情。



そして忘れ難い感動を生んだのは何と言っても悪役!
ブライス・ダラス・ハワードの小憎らしい演技があったればこそ。
彼女は「ビューティフル・マインド」等の名匠監督ロン・ハワードの娘さん、力演です。
映画を面白くするコツは、戦う相手が強烈な程面白くなるという見本。

◎「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」特別インタビュー


差別される側の黒人寄りの姿勢に比べ、
自分の子供の気持ちも理解できず勿論教育すらできない
差別する白人側の愚かさへの冷ややかな視線などややパターン的と言えますが、
しっかり感動させてくれる技に酔わされます。

畏れや習慣から権力者におもねたり、群れることで心を置き忘れてはいないか?
自分に正直に生きるとはどういう事か?を深く考えさせる作品。
ラストシーンの主人公の後姿は、明日の自分。


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