大鹿村騒動記の鑑賞記

夜更かし中年隊

2011年09月30日 02:07

名優にしてアンチヒーローだった俳優原田芳雄の遺作「大鹿村騒動記

これまで計6本、原田芳雄とタッグを組んできた阪本順治監督。
「彼をいつか主演に!」という阪本監督の願いと、
昔TVロケで大鹿村を訪れ村人の思いに触れたことがきっかけで、
大鹿歌舞伎をテーマに映画化したい!という原田の思いが結実した作品。


 ▲夫々の思いが詰まった忘れられない作品になった

忘れられないけど、思い出したくもない女が帰ってきた。
いいですね、このキャッチコピー。
映画の滑稽なストーリーが見えて来るようです。

18年前に駆け落ちした妻と親友が、突然村に戻ってきた。
聞けば妻は認知症を煩い、駆け落ちしたことさえ忘れてしまっていると言う。
そこから始まるてんやわんやの騒動記。

舞台は長野県の大鹿村、この地で300年以上も受け継がれている村歌舞伎。
リニア新幹線の誘致や台風・地デジ化の世相を交えながら、
田舎歌舞伎を中心に何だかまとまらない?村を通して繰り広げられる人間喜劇。

阪本監督とベテラン脚本家荒井晴彦の共同脚本が、
ホロ苦くも生き生きとした人間味あふれる群像劇を誕生させ、楽しめる作品になってます。


 ▲村歌舞伎役者勢揃い

ダメでどうしようもない大人達のユーモアあふれる掛け合い、
笑いと涙・憎しみと諦め、ドラマチックではないが人生の悲哀・滋味が詰まった物語。
ニヤリ!とさせられる愛すべき大人の喜劇、それが「大鹿村騒動記」。
「美味しんぼ」以来2回目の三国連太郎&佐藤浩市親子共演も見られます。

公開3日後の2011年7月19日主演の原田芳雄が死去した為、彼の遺作になりました。

寂しくなります・・・

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