2015年02月27日

戦争の後遺症「アメリカンスナイパー」

エリート部隊ネイビー・シールズ(アメリカ海軍特殊部隊)所属の狙撃手で、
イラク戦争に4回派遣された伝説の狙撃手〈クリス・カイル〉。
160人を射殺した凄腕の狙撃手として仲間からは「伝説の狙撃手」と英雄視され、
敵からは「ラマディの悪魔」と怖れられ18万ドルの懸賞金が掛けられた男。

彼の自伝「ネイビー・シールズ 最強の狙撃手」を映画化した「アメリカンスナイパー」。
監督は「ミリオンダラー・ベイビー」「許されざる者」の名匠クリント・イーストウッド84歳。
主演のブラッドリー・クーパーはプロデューサーも務め、
アカデミー賞主演男優賞候補にもなる程の熱演を披露する。



伝説化されたクリスが歩んできた道は、決して特異なものではない。
銃の才能はあるが家族・仲間・国を愛する、ごく普通の幼少期。
結婚して家を空ける時には男の我が子に「家族を頼んだぞ」と告げ、
自分がしてきた様に「他者を守る」というシンプルな意識や信念を子供に諭す。

2001年アメリカを襲った9.11同時多発テロで国を守る忠誠心に燃え、
祖国の人々を守る為に狙撃手としてイラクに出征。
正確で驚異的狙撃力で味方の窮地を次々と救い、次第に伝説化されていく。
しかし、仲間から賞賛を受けてもクリスは照れる程のいたって謙虚な人柄。
4回に亘るイラクへの派遣で、
戦場での緊張感と女子供をも殺(あや)めねばならない戦争の過酷さ・非情さは、
やがて彼の精神を蝕み変貌させていく・・・

夫婦で携帯電話で話してる途中に突然敵の襲来を受けるシーンは、
戦場で緊迫する夫と祖国で平和に暮らす妻との立ち位置の落差が顕著になる。
一時帰国し家庭で無音のTVを独り見つめるシーンやパーティでの錯乱は、
頭の中で銃声音が常に響き戦場感覚に憑りつかれたクリスの姿なのだ。
戦争は、日常生活さえも意識を変えていく。
製作・主演のブラッドリー・クーパー渾身の演技から、
家族愛や祖国への忠誠心・軍人の葛藤や苦悩が伝わってくる。

◎映画「アメリカン・スナイパー」予告編


クリスが退役後の人生を苦悩の末に見つけ出したのは、
戦争の後遺症〈PTSD〉に苦しみ続ける帰還兵の救済に捧げること。
しかし、その決断さえもまた戦争の犠牲者によって踏みにじられてしまう。
実話に基づくラストシーンが、実に皮肉で衝撃的だ。

戦争は多くの人に傷を残す。そして、人々の心を破壊していく

無音のまま流れるエンドクレジットの向こう側に、何を感じ取ればいいのか?
イーストウッド監督がこの映画を通して願う、祈りともとれる言葉。
「私たち全員が願うのは、彼のストーリーを知ることによって、
 兵士たちと彼らの家族がどれだけ犠牲を払っているかということを人々が思い出し、
 祖国の為にあまりにも多くを捧げてきた人々に対して、
 今以上に感謝するようになればいい」
「アメリカンスナイパー」はたった一人の兵士を幼少期より丁寧に描くことで、
戦争がもたらす重い犠牲を照らし出す映画ともいえる。

一人を殺せば殺人者だが、百万人を殺せば英雄だ。
 殺人は数によって神聖化させられる。
」 ~喜劇王:チャップリン~


Posted by 夜更かし中年隊 at 08:10 │震える~シネマ

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アラカン(アラウンド還暦)世代。
親父の立場や経験から、
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