2013年05月23日
満腹感の横山秀夫「64(ろくよん)」
数日前、図書館から借用の分厚い2冊の単行本
「64(ろくよん)」「空飛ぶ広報室」の記事をブログに記した。
◎「64」「空飛ぶ広報室」2大作読破に挑む!
http://hayaoki1951.noramba.net/e252360.html
後で考えるとこの2冊、たまたま広報室という舞台が同じだった。
その一冊、横山秀夫「64」全647ページを
雑用しながら深夜まで読み耽り、何とか3日間で読破!
書籍の厚み同様、中身の重量感もどっかりと凄いボリューム。
▲これでも本の分厚さは解りづらい
横山作品は「半落ち」「動機」に続く3冊目。
「64」のキャッチは〈警察小説の真髄が、人生の本質が、ここにある〉。
2013年本屋大賞2位をはじめ、2012年ミステリー国内部門1位、
このミステリーが凄い!2013年国内編1位受賞と、傑作の折り紙付き作品。
中央と地方・キャリアとノンキャリア・刑事部と警務部といった警察内部の抗争、
警察と記者クラブ・警務部広報とマスコミ・警察対被害者遺族など外部との対立構造、
「64」と呼ばれる誘拐犯未解決事件に絡む警察内部の謎と権力抗争、
誘拐事件に関わった人たちの人間模様や家族の苦悩・失踪事件・引き篭り等、
多彩で重層的なストーリーが息つく間もなく展開する。
登場人物は多いし警察内の上下関係や人間関係も複雑で、
相関図や警察の階層解説図などがあれば、より把握がし易いのでは・・・
と思っていたら、ネットの〈横山秀夫「64」文藝春秋・特設サイト〉に
「D県警見取り図・登場人物紹介」の見取り図が掲載されてました。
◎横山秀夫「64」文藝春秋・特設サイト
http://bunshun.jp/pick-up/64/chara/index.html
▲この見取り図を単行本に付けて欲しかった
「柿沼は、男気だけでは渡れぬ濁流の向う岸にいる」
「三雲はやるべきことをやっている」
「キャップたちが三上に会釈してあとに続く。一人ひとりに目を合わせた。
勝ちも負けもない。こんな退室風景を見るのは、いつ以来か。
ここは刑事部屋でない。この部屋で部下を得た」
「さっきの言葉は取り消せない。取り消すつもりはない。
それでも未練がましく思った。この男の下で、もう一度働きたい」
「その時が来たら、お供させていただきます」
「仕事は裏の裏まで知り尽くして、なのに妻のことは何も気付かないなんて、
そんなものが人生と呼べるか」・・・
これだけ多くの登場人物に個性を際立たせながら、
サスペンスと人情を絡め事件を解明していく筆力には脱帽させられる。
人を見つめる、人を描写する視線が的確で温かく、
激しい対立が溶けて一つになった時、読者も熱くならずにいられない。
▲作家横山秀夫氏は、近所の何処かにいるおっさんタイプ
ラストも全てが解決し丸く治まる訳でもないが、
一歩でも前進し、かすかな希望が感じられて爽快感と充実感を感じる。
「カラン!とグラスの氷が向きをかえた」・・・
このハッ!とする描写のさり気なさ。
もう呑み屋で氷が鳴る度に、しばらくはこの小説を思い浮かべるかも知れない。
「64(ろくよん)」「空飛ぶ広報室」の記事をブログに記した。
◎「64」「空飛ぶ広報室」2大作読破に挑む!
http://hayaoki1951.noramba.net/e252360.html
後で考えるとこの2冊、たまたま広報室という舞台が同じだった。
その一冊、横山秀夫「64」全647ページを
雑用しながら深夜まで読み耽り、何とか3日間で読破!
書籍の厚み同様、中身の重量感もどっかりと凄いボリューム。
▲これでも本の分厚さは解りづらい
横山作品は「半落ち」「動機」に続く3冊目。
「64」のキャッチは〈警察小説の真髄が、人生の本質が、ここにある〉。
2013年本屋大賞2位をはじめ、2012年ミステリー国内部門1位、
このミステリーが凄い!2013年国内編1位受賞と、傑作の折り紙付き作品。
中央と地方・キャリアとノンキャリア・刑事部と警務部といった警察内部の抗争、
警察と記者クラブ・警務部広報とマスコミ・警察対被害者遺族など外部との対立構造、
「64」と呼ばれる誘拐犯未解決事件に絡む警察内部の謎と権力抗争、
誘拐事件に関わった人たちの人間模様や家族の苦悩・失踪事件・引き篭り等、
多彩で重層的なストーリーが息つく間もなく展開する。
登場人物は多いし警察内の上下関係や人間関係も複雑で、
相関図や警察の階層解説図などがあれば、より把握がし易いのでは・・・
と思っていたら、ネットの〈横山秀夫「64」文藝春秋・特設サイト〉に
「D県警見取り図・登場人物紹介」の見取り図が掲載されてました。
◎横山秀夫「64」文藝春秋・特設サイト
http://bunshun.jp/pick-up/64/chara/index.html
▲この見取り図を単行本に付けて欲しかった
「柿沼は、男気だけでは渡れぬ濁流の向う岸にいる」
「三雲はやるべきことをやっている」
「キャップたちが三上に会釈してあとに続く。一人ひとりに目を合わせた。
勝ちも負けもない。こんな退室風景を見るのは、いつ以来か。
ここは刑事部屋でない。この部屋で部下を得た」
「さっきの言葉は取り消せない。取り消すつもりはない。
それでも未練がましく思った。この男の下で、もう一度働きたい」
「その時が来たら、お供させていただきます」
「仕事は裏の裏まで知り尽くして、なのに妻のことは何も気付かないなんて、
そんなものが人生と呼べるか」・・・
これだけ多くの登場人物に個性を際立たせながら、
サスペンスと人情を絡め事件を解明していく筆力には脱帽させられる。
人を見つめる、人を描写する視線が的確で温かく、
激しい対立が溶けて一つになった時、読者も熱くならずにいられない。
▲作家横山秀夫氏は、近所の何処かにいるおっさんタイプ
ラストも全てが解決し丸く治まる訳でもないが、
一歩でも前進し、かすかな希望が感じられて爽快感と充実感を感じる。
「カラン!とグラスの氷が向きをかえた」・・・
このハッ!とする描写のさり気なさ。
もう呑み屋で氷が鳴る度に、しばらくはこの小説を思い浮かべるかも知れない。
Posted by 夜更かし中年隊 at 12:14
│震えて眠れ