2013年08月17日
流石だなぁ~、岩下尚史著「芸者論」
ちょっと取っ付き難かったので、途中で読み残しの本があった。
「ハコちゃん」こと、あの!岩下尚史著「芸者論~花柳界の記憶」。
読み残しを久しぶり読んでみると、
現代に近付いてくる後半が結構面白かった。
後半は芸者論を超越して、人生論・文化論にも昇華している。
芸者さんと言えば、まず想い出すのが
原作が平岩弓枝の昔のTVドラマ「女と味噌汁」。
芸者仲間達を取り巻く男達と花柳界を巡る人間模様。
池内淳子と山岡久乃・長山藍子・一の宮あつ子等の好演と演出が光る、
どこか色っぽく愉快で楽しい番組だった。
▲「女と味噌汁」はビデオ・DVD化されていない
「いつかは芸者遊びやってみたいなぁ」と子供心にも?憧れを抱いた。
ちょいと気になる着物姿の女将がいる小料理屋で一杯呑る・・・
そんな願望を持ったのも、この頃からかな?
芸者さんは日本髪を結った着物姿で酒席に現れお客にお酌をし、
踊りやお座敷芸を披露しながら酒客を楽しませてくれる・・・
そんなイメージがあった芸者さんが、
いろんな出来事や歴史を経て今も現存しているという現実。
▲一度はやりたいお座敷遊び
「貧しい者は豊かさを、豊かな者は賢さを、
悲しんでいる者は慰められるために芸者の所へ行く。
芸者は客の話を丁寧に聞く。
芸者は美人で美味しいお茶を出し、歌を歌い、踊りを踊る。
これを見れば悩みなど消えてしまう」
「何の世界にでも、ピンとキリの違いがあります。
その辺りをよくよく噛み分けなければ、
穴を穿(うが)つことは出来ませんし、全体の姿を掴むことも出来ません」
「たまには晴れがましさを味わう機会がないと、
何のために日本に生まれてきたのか分からない」
「人というものは先ず何かに扮して外側から作っていかないと、
中身を充実させることは、なかなか難しいのではないか」
「動機は何であれ一途に打ち込む内に、趣味の境地に入って行くものですし、
趣味となれば自ら人格に奥行きを持たせるようになります」
「芸者にとって何より必要なのは、社交の能力です。
この才の優れた芸者を複数の土地に、
ひとりでも多くの味方に付けておくことが、男の威力の証となります」
「芸者だけは客である男性と対等に会話をし、擬似的ながら自由に恋愛も出来、
一般の印象とは裏腹に、社会の中で生きることが出来た数少ない女性達であった」
「人の浮き沈みとは同じことをしていても、
運の良いのと悪いのでは、転地ほどの違いがある」・・・
芸者の成り立ちから花柳界全盛を迎える時代までの歴史と変貌。
新橋・柳橋の一等地から三等地・三流以下は三業地とも呼ばれ、
料理茶屋から貸座敷・船宿・料亭への活躍の場の変遷、
新橋演舞場の〈東をどり〉に川上音二郎による芝居の海外進出、
作家・芸術家から政治家達との交友や繋がり、
映画界ではカンヌ映画祭グランプリ受賞「地獄門」から「SAYURI」まで・・・
▲「地獄門」は菊池寛「袈裟の良人」の映画化
政治の舞台裏から小説・戯曲・映画・TV等と、
今でも芸者ワールドは日本のみならず世界を魅了し続ける。
芸者を通して日本文化を語る手腕は、
「これ以上〈芸者論〉を語れる人物はいない」と推薦する
作家・平岩弓枝ならずとも納得の一冊だった。
「ハコちゃん」こと、あの!岩下尚史著「芸者論~花柳界の記憶」。
読み残しを久しぶり読んでみると、
現代に近付いてくる後半が結構面白かった。
後半は芸者論を超越して、人生論・文化論にも昇華している。
芸者さんと言えば、まず想い出すのが
原作が平岩弓枝の昔のTVドラマ「女と味噌汁」。
芸者仲間達を取り巻く男達と花柳界を巡る人間模様。
池内淳子と山岡久乃・長山藍子・一の宮あつ子等の好演と演出が光る、
どこか色っぽく愉快で楽しい番組だった。
▲「女と味噌汁」はビデオ・DVD化されていない
「いつかは芸者遊びやってみたいなぁ」と子供心にも?憧れを抱いた。
ちょいと気になる着物姿の女将がいる小料理屋で一杯呑る・・・
そんな願望を持ったのも、この頃からかな?
芸者さんは日本髪を結った着物姿で酒席に現れお客にお酌をし、
踊りやお座敷芸を披露しながら酒客を楽しませてくれる・・・
そんなイメージがあった芸者さんが、
いろんな出来事や歴史を経て今も現存しているという現実。
▲一度はやりたいお座敷遊び
「貧しい者は豊かさを、豊かな者は賢さを、
悲しんでいる者は慰められるために芸者の所へ行く。
芸者は客の話を丁寧に聞く。
芸者は美人で美味しいお茶を出し、歌を歌い、踊りを踊る。
これを見れば悩みなど消えてしまう」
「何の世界にでも、ピンとキリの違いがあります。
その辺りをよくよく噛み分けなければ、
穴を穿(うが)つことは出来ませんし、全体の姿を掴むことも出来ません」
「たまには晴れがましさを味わう機会がないと、
何のために日本に生まれてきたのか分からない」
「人というものは先ず何かに扮して外側から作っていかないと、
中身を充実させることは、なかなか難しいのではないか」
「動機は何であれ一途に打ち込む内に、趣味の境地に入って行くものですし、
趣味となれば自ら人格に奥行きを持たせるようになります」
「芸者にとって何より必要なのは、社交の能力です。
この才の優れた芸者を複数の土地に、
ひとりでも多くの味方に付けておくことが、男の威力の証となります」
「芸者だけは客である男性と対等に会話をし、擬似的ながら自由に恋愛も出来、
一般の印象とは裏腹に、社会の中で生きることが出来た数少ない女性達であった」
「人の浮き沈みとは同じことをしていても、
運の良いのと悪いのでは、転地ほどの違いがある」・・・
芸者の成り立ちから花柳界全盛を迎える時代までの歴史と変貌。
新橋・柳橋の一等地から三等地・三流以下は三業地とも呼ばれ、
料理茶屋から貸座敷・船宿・料亭への活躍の場の変遷、
新橋演舞場の〈東をどり〉に川上音二郎による芝居の海外進出、
作家・芸術家から政治家達との交友や繋がり、
映画界ではカンヌ映画祭グランプリ受賞「地獄門」から「SAYURI」まで・・・
▲「地獄門」は菊池寛「袈裟の良人」の映画化
政治の舞台裏から小説・戯曲・映画・TV等と、
今でも芸者ワールドは日本のみならず世界を魅了し続ける。
芸者を通して日本文化を語る手腕は、
「これ以上〈芸者論〉を語れる人物はいない」と推薦する
作家・平岩弓枝ならずとも納得の一冊だった。